結局一番きつかったのは、銀行でも取引先でもなく、税務署

ゴールデンウィークに入る前に、友人から会社潰した事がある元社長さんを紹介され、軽くお話を伺う機会があった。
そこは買掛金も社員も多く、また資産もあり、うちとは倒産の規模が違う。しかし、参考になる話はそれなりにあった。


主に破産前の対策を中心に伺ったのだけど、とにかく急いでやるべきは税務署対策だと言う。
弁護士から受任通知が行くことで、銀行やノンバンクからは一切連絡が来なくなる。もちろん取り立てはない。買い掛け先も大騒ぎはするけど、あまり実害はない。慌てて裁判しても意味がないしね。
しかし、税務署や市役所などは違う。倒産を考えていると分かった瞬間に取り立てと差し押さえを始めるらしい。
破産を考えている人ならご存じだと思うけれど、税金は最優先される債権とされている。しかし、実際には税金より給料を優先して支払っても裁判所はうるさく言わない*1。また、破産申立がなされると管財人報酬が最優先される。そのため、破産を検討していると分かった段階で、とにかく急いで金をかき集めに来る。


伺った会社の場合では、社員にも解雇を通知し、整理に必要なため残ってもらった数名と残務処理をしているところに、税務署が突然訪れた。倒産間近だと何で知ったのかは分からないけど、おそらく買掛先がチクったのだろう*2
「○×税務署ですが、3月にお支払いいただく予定の消費税の納付がすんでおりません。お支払いいただけますか?」
「いや、ちょっと今は無理なんですが」
「では後ほど「差押予告通知書」をお送り致しますのでご納付ください」
と、とりあえず何もせずすごすごと帰る。


そして、2日後に「差押予告通知書」が届く。開けてみると納付期限は到着日の3日後。もちろん払えないので放置しておいたら、納付期限の夕方に最後まで少し残っていた売掛先から電話が来た。
「いま、税務署が来てるんだけど、おたくどうなってるのよ?買掛を差し押さえるとか言ってるんだけど……」
そして、その電話とほぼ同時刻に会社にも税務署来襲。手提げ金庫に入っていた、今後の処理に使おうと思っていた現金20万ほどを差し押さえられる。他にはめぼしいものものないのですごすご帰ったけど、金目のものがあれば速攻で差し押さえる準備はしてきている様子だったらしい。その後、慌てて銀行に行くと、口座引き落としの公共料金用に入れておいたわずかな残高もゼロに。
結果、最後に少し払おうと思っていた給料も払えず、社員にはただただ頭を下げる結果になったという。


だから、とにかく金は会社に置くな、金目のものはどこかに預けろとの事。
いや、本当に勉強になります。
というわけで、このゴールデンウィークは金目のものを知り合いに預ける日々でございます。
最終的に処分して、事務所の撤去費用と給料作ります。財産隠しじゃ、ないからねっ*3

*1:実際、弊社も残ったお金を全額給料に回せと口酸っぱく弁護士に言われている。裁判所の心証が違うらしい

*2:とはいえ、「取引先が潰れそうで税金ちょっと待ってください」と言うのは、当然のことだよね。

*3:こう書くと本当に財産隠し中みたいだけど、今更隠すメリットもないし堂々と処分しますよ。